「openmediavault」で自作NAS【1.インストール】

 「NAS」(Network Attached Storage)いわゆる、ファイルサーバー。現在は、専用機が販売されており、有線LANのケーブルと電源を接続しWebブラウザで設定すると使える。しかし、パソコンでもNASが自作できる。ここでは、「openmediavault」(OMV)をインストールしてNASを構築する。

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OMVを選んだ理由

 OMVを選んだのは、Webブラウザーで管理できること、インターフェイスが日本語、IPv6とファイルシステムの「Btrfs」に対応していることなどがあげられる。

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Features | openmediavault

 また、OMVは必要とするスペックは、

  • CPU:x86-64またはARM互換プロセッサ
  • メモリー:1Gバイト
  • HDD:
    システムドライブ:4Gバイト(メモリーよりも容量が大きいこと)
    データドライブ:必要に応じた容量

と非常に低いのも特徴。

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Prerequisites — openmediavault 5.x.y documentation
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OMV本体のシステムドライブとデータドライブは別

システムドライブのおすすめは32GバイトのSSD

 OMVは、OMVがインストールされた「システムドライブ」とファイルを保存する「データドライブ」を別に用意する必要がある。面倒だとは思うが、システムドライブ、データドライブに加えてバックアップドライブの3つを別々にする方が、管理がしやすく安全だろう。

 システムドライブだが、仕様には4Gバイトとあるが、今となってはこのような少ない容量のドライブを見つけるのは困難だ。しかし、いくつか32GバイトのSSDが販売されている。このようなOMVのシステムドライブでの利用を想定しているのだろう。

 価格は1,200円から3,000円程度。Transcendの製品は3,000円でほかの製品よりも高いが、品質や保証、サポート体制が整っているため、安心して購入できる。また、48Gバイトで1,200円という製品もある。こちらはTranscendのように保証があるのかサポートの体制はどうなのかまったく分からない。

Transcend SSD 32GB 2.5インチ SATA3 6Gb/s MLC採用 TS32GSSD370S

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データドライブはウェスタンデジタルのNAS向けHDD

 データの保存用とバックアップのHDDは、ウェスタンデジタルのNAS向けのHDDがおすすめだ。今なら、3Tバイトは1万円程度で購入できる。

 データドライブに中古のHDDを採用するのも選択肢の1つだ。NASに必要な容量が1Tバイト程度という場合。3TバイトのHDDと比べると、1TバイトのHDDは単価が高い。そのため、中古の1TバイトのHDDを2台購入。ミラーリングなどで多重化することで、新品のHDDが1台よりも、中古のHDDが2台の方が信頼性は高いと考えられる。

 この中古のHDDもウェスタンデジタルのNAS向けの製品が販売されている。下記のリンクは新品の製品のページが表示されるが、画面の右側で中古品が選択できる。

USBメモリーもシステムドライブとして使える

 システムドライブは、マニュアルにも書いてあるとおりUSBメモリーも使える。試しにUSBメモリーへのインストールを行ったが、16Gバイトはパーティションの自動設定が行えなかったが、32Gバイトでは正常に動作した。使い道がない32GバイトのUSBメモリーがあれば、システムドライブに利用するといいだろう。

 なお、OMVはほかのOSと同様に頻繁にファイルの読み書きを行う。そのため、USBメモリーを使うと数週間で故障する可能性がある。これを防ぐためには、OMVのプラグイン「openmediavault-flashmemory」のインストールが必須だ。

 しかし、システムドライブはSSDを使うことをおすすめする。そもそも、USBメモリはファイルを頻繁に書き換えることを想定して作られていない。あくまでもソフトウェアでの制御であるため、プラグインを利用しても信頼性は低いためだ。

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Installation on USB — openmediavault 5.x.y documentation
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OMVに必要なハードウェアは?

そのため必要なものは、

  • CPUはx86-64またはARM互換プロセッサ
  • セットアップ用のUSBメモリー
  • システムドライブ用の32Gバイト以上のUSBメモリーまたはSSD、HDD
  • データ保存用のHDD
  • バックアップ用のHDD(必要に応じて)

だ。

 このCPUはどれほどのスペックが必要なのか、はっきり書かれていない。しかし、OMVは軽量なのが特徴のため古かったり遅かったりするCPUでも問題なさそうだ。

 今回、使用したパソコンは、CPUはCore i3-2100T、メモリーは16Gバイト、システムドライブは128GバイトのSSD、データ保存用は1TバイトのHDD、バックアップ用は3TバイトのHDDだ。

  Core i3-2100Tは、2011年第1四半期に発売された製品。コアは2つでスレッドは4、ベース動作周波数は2.5GHz。TDPは35Wのため、デスクトップ用のCPUとしては低消費電力だ。このようなCPUでも問題なく動作するか気になるところだ。

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インテル® Core™ i3-2100T プロセッサー (3M キャッシュ、2.50 GHz) 製品仕様
インテル® Core™ i3-2100T プロセッサー (3M キャッシュ、2.50 GHz) 仕様、機能、価格、対応する製品、設計資料、製品コード、スペックコードなどが分かるクイック・リファレンス・ガイド。
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OMVのインストール手順

大きく分けて

  • インストール用USBメモリーの作成
  • OMVのインストール

の2工程がある。今回は、インストール用USBメモリーの作成とOMVのインストールを行う。

インストール用USBメモリーの作成

 OMVは、イメージファイルをダウンロードして、USBメモリーに書き込み、パソコンに接続してインストールする。一般的なLinuxやWindowsと同じだ。

 なお、イメージファイルの書き込みのソフトにより、OMVのインストールが起動しない場合がある。そのため、OMVでも推奨されている「Rufus」だと確実だ。

 Rufusは、以下のリンクを開くとダウンロードが始まる。1つの実行ファイルで構成されているため、インストールの必要はない。

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Download Rufus from SourceForge.net
Utility to create bootable USB flash drives

 OMVのイメージファイルもURLを開くと自動的にダウンロードが始まる。

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Download openmediavault from SourceForge.net
The open network attached storage solution

 2つのソフトイメージファイルがダウンロードできたら、次は書き込みだ。

  1. OMVのイメージファイルをダウンロード
  2. 「Rufus」をダウンロードして起動
  3. 「デバイス」でOMVのインストーラーを書き込むデバイス(USBメモリー)を選ぶ
  4. 「選択」でOMVのISOファイルを開く
  5. 「スタート」をクリック
  6. 「ダウンロードが必要です」にて「はい」をクリック
  7. 「DDイメージモードで書き込む」をクリック
  8. 書き込むメディアがすべて消去されるというメッセージが表示されるので確認して「OK」

という手順。

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Rufusの設定。「選択」でダウンロードしたISOファイルを選択、スタートでUSBメモリーに書き込む

OMVのインストール

 OMVをインストールする際。パソコンに接続するのは、システムドライブだけにする。データドライブは、後の設定で追加するので問題ない。インストールは、各種Linuxをインストールした経験がある人なら簡単だろう。画面キャプチャで追っていく。また、OMVのマニュアルとほぼ同じだ。

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Installation using an ISO image — openmediavault 5.x.y documentation
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キーボードで「Install」を選択
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「日本語」を選択
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「日本」を選択
「openmediavault」で自作NAS【1.インストール】 29
「日本語」を選択
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コンポーネントのインストール
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DHCPでIPアドレスなどを取得する
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ホスト名を記載する
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ドメイン名の入力。ほとんどの場合、localのままで問題はない
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管理者用のパスワードを入力
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確認のためもう1回、管理者パスワードを入力する
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「openmediavault」で自作NAS【1.インストール】 37
OMVをインストールするドライブを選択する
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インストールするディスクは初期化を行いデータを削除するという説明があるため、確認の後、「はい」を選択
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ディスクのフォーマット
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OMVをダウンロードする必要があるため、近くのミラーサーバーを探す。「日本」を選択
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OMVのインストールに必要なファイルはインターネット上のサーバーからダウンロードする。説明にあるとおり「deb.debian.org」からのダウンロードをおすすめする
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プロキシの設定。ほとんどのネットワークでは特に必要はない
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ファイルのダウンロードとインストールは自動的に行われる
「openmediavault」で自作NAS【1.インストール】 44
これで完了

設定に続く

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オンラインストレージもNAS専用機もあるのになぜパソコンで構築するのか?

パソコンでNASは拡張性が高い

 NAS専用機が出回るまでは、Windows Serverまたは、LinuxをOSにSambaをインストールて構築するパターンが多かった。しかし、NASの専用機が出回るようになると、ハードルは一気に下がった。NAS専用機に電源とLANケーブルを挿して、Webブラウザで設定をするだけで利用できるようになったためだ。

 その一方、NASに特化したOSも数多く見られる。いずれもLinuxまたFreeBSDをベースにしたもので、Webブラウザから操作できるため、コマンドが分からなくてもNASが完成するというものだ。

 このように、NAS専用機が販売されているのになぜ、自作をするのか。それは、拡張性の高さにある。

 ハードウェアとしての拡張性は、HDDやSSDを数多く設置できることが大きい。NAS専用機の価格は、装着できるHDDの数とおおよそ一致する。ソフトウェアの拡張性も高く、ウイルス対策ソフトやUPS(無停電電源装置)との連携、Dockerによる仮想化環境の構築が可能だ。

NASとオンラインストレージの併用

 オンラインストレージがメインでバックアップのためにNASを設置するというのも理由の1だ。

 最近、ストレージの見直しを行っており、かなりのデータをNASからOneDriveに移行した。OneDriveなら、お金さえ払えば何も考えなくてもいい。データが消失する可能性は自宅のNASよりもずっと低い。履歴も残り、人為的なミスでファイルを失うことがない、ウイルスチェックもある、インターネット接続さえあればどこからでもファイルが参照できるのも決め手だ。

自宅のNASには何を保存する?

 それではなぜ、NASを構築するのか。それは、音楽ファイル、写真のバックアップ、パソコンのシステムバックアップなど大きなサイズのファイルがあるからだ。

 音楽は自宅では、パソコンでソニーのプレイヤー「Music Center for PC」で聞いている。ここで参照するのはNASに保存した音楽ファイルだ。外出先では、「Google Play Music」。これは、Googleにアップロードした音楽ファイルを再生している。

 一方の写真は、自宅でも外出先でもGoogleフォトを使うようになった。パソコンではWebブラウザー、スマートフォンではアプリを使っている。

 このGoogle Play MusicとGoogleフォトの共通点は、音質や画質は落とすが、保存できる容量や曲数、枚数が莫大であるということだ。

 音楽ファイルは手元に、AACの320kbpsまたはハイレゾの3Mbps程度を保存している。Google Play Musicに保存すると128kbpsのMP3にダウンコンバートされるが、5万曲も保存できる。

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Google Play Music の保存容量の制限 - Google Play Music ヘルプ
Chrome 版 Google Play Music や Music Manager を使用して、個人の音楽コレクションから最大で 50,000 曲を Google Play Music に追加できます(1 曲につき最大 300 MB

 一方のGoogle フォトは、写真は1,600万画素、動画は1080pに縮小されるが無制限だ。JPEGの写真は1,600万画素があれば十分だ。しかし、一眼レフカメラで撮影したRAWファイルはアップロードするとストレージの占有サイズとしてカウントされてしまう。さらに、RAWファイルは1枚あたり数十Mバイトにもなる。

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写真や動画のアップロード サイズを選択する - パソコン - Google フォト ヘルプ
必要に応じて写真や動画の画質を変更できます。また、画質を変更することで空き容量を増やすこともできます。 バックアップ オプションの詳細

 このように、Googleのサービスを使うと音楽と写真はほぼ無制限で保存できるが、元のファイルよりもビットレートが落ちる。そのため、手元のNASでも保存しておきたいというわけだ。

 さらに大きなデータを保存する必要がある。それは、パソコンのシステムバックアップだ。データはほとんどOneDriveに保存しているため、PCが故障してもデータを失うことはない。

 このパソコンのシステムバックアップは、数十Gバイトや数百Gバイト単位のファイルサイズとなり回線やストレージを圧迫する。初回のバックアップで百Gバイト単位、その後のバックアップでも数Gバイトのデータを保存する必要がある。そうなると、現在契約している1Tバイトのオンラインストレージもかなり圧迫しそうだ。

 このように、まだまだすべてのファイルをオンラインストレージに預ける体制は整っていない。そのため、オンラインストレージとNASの両方を使い分けることにした。


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